カーボンナノチューブの電子デバイス応用
 カーボンナノチューブは炭素のシート(グラフェン)を直径約1 nmの筒状に丸めたチューブです.このナノ材料は、その丸め方によって、半導体にも金属にもなるという面白い特徴を持ち、様々な電子デバイスへの応用が期待されています.
当研究室では、以下の課題について研究を行っています。

極微細カーボンナノチューブトランジスタの相補型半導体(CMOS)集積回路応用
 Siなどの従来型半導体では、正孔の移動度が電子の移動度に比べて低く、CMOS集積回路の速度はp型半導体によって制限されていました。半導体カーボンナノチューブ(CNT)は、電子・正孔ともに従来の半導体に比べて高い移動度を持つため、CMOS集積回路の性能を大幅に改善することが期待されています。素子特性の制御や集積化技術を研究しています。
各種半導体の移動度
  Si GaAs CNT
(1.5nm)
移動度(電子) 1,500 8,500 30,000
移動度(正孔) 450 400 30,000
当研究室で実現したナノチューブCMOS

柔軟なカーボンナノチューブ薄膜トランジスタ(TFT)と集積化
 カーボンナノチューブは非常に柔軟な材料であり、曲げてもほとんど電気特性が変化しません。そのため、カーボンナノチューブを使った柔軟な電子ペーパーや表示デバイスの実現が期待されています。従来型の真空プロセスを用いない環境にやさしいプロセスにより、プラスチックや紙の上に集積回路を実現する技術を研究しています。

当研究室で実現したフレキシブル・ナノチューブ論理集積回路

カーボンナノチューブの成長制御
 カーボンナノチューブの電子デバイス応用の上で、カーボンナノチューブの位置や方向、密度などを制御して成長する技術が重要です。ナノチューブの成長から集積回路まで一貫して研究できる稀有な研究室です。

高密度に配向して成長させたカーボンナノチューブとそれを用いた高周波トランジスタ

カーボンナノチューブの光学的特性と光電子デバイス応用
 半導体カーボンナノチューブは直接遷移型の半導体であり、高効率に光の吸収や放出が可能です。また、極微細な1次元構造のため、従来にない特異な光物性を示します。これを利用した新しい光電子デバイスを研究しています。
 
カーボンナノチューブの発光スペクトル(左)とナノチューブの発光の電圧制御(右)

カーボンナノチューブ薄膜を用いたエネルギーハーベスティングデバイス
エネルギーハーベスティングは身の回りに存在する微小なエネルギー(振動や熱など)を収穫(ハーベスト)し電気エネルギーに変換する技術です。得られる電力はnW~mW程度ですが、センサ等のデバイスを無給電で駆動するための新しい技術として期待されています。本研究室では、科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業CRESTの支援のもと、精力的にエネルギーハーベスティングの研究に取り組んでいます。

CNT表面を流れる流体から発電
カーボンナノチューブ薄膜の表面を電解液が流れると、薄膜の両端に起電力が生じることが見出しています。雨のような液滴や、河川のような連続流から発電する柔軟で伸縮性のある発電シートや流れセンサの研究をしています。

摩擦帯電から発電
 2つの異なる物質が接触すると摩擦による帯電が生じます。この摩擦帯電から電力を取り出す技術を研究しています。特にカーボンナノチューブ薄膜を用いた透明で伸縮性のあるウェアラブルなエネルギーハーベスティングデバイスの実現を目指しています。

HfO2透明で伸縮する摩擦帯電発電デバイス.多くのLEDを同時に発光させた例.

ダイヤモンドの電子/量子デバイス応用
炭素の同素体であるダイヤモンドは、究極のパワーデバイス材料であるとともに、室温動作可能な量子コンピュータの実現も期待されています。当研究室では、ダイヤモンドの電子/量子デバイス応用について、以下の研究を行っています。

ダイヤモンドのパワーデバイス応用
  パワーデバイスはインバータやコンバータなどの電力変換において欠かせない半導体デバイスです。電力変換における損失を減らすためには、高速動作・高耐圧・高熱伝導性が求められますが、ダイヤモンドはこの全てにおいて圧倒的に優れた性能を持つ究極のパワーデバイス材料です。本研究室ではダイヤモンドパワーデバイスの高性能化を目指し、これまでのGaNデバイスの研究で培った知識を元に、様々な新規のアイデアを導入しながら、シミュレーションから素子作製・評価まで充実した研究を行なっています。

ダイヤモンドパワートランジスタのシミュレーション結果(左)と試作したデバイス(右)

ダイヤモンド中の欠陥を用いた量子情報処理
 ダイヤモンドに窒素原子と原子空孔がペアになったNVセンタを作り、そのスピンを制御すると、室温で動作する量子ビットができる可能性があります。本研究室では、ナノスケールのデバイス技術を導入し、NVセンタのスピンの制御や隣接したNVセンタの結合を制御して量子情報処理を実現する研究を行なっています。

HfO2ダイヤモンド中の窒素-空孔中心

Ohno Laboratory, EcoTopia Science Institute, Nagoya Univ.

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